「男はつらいよ」45周年記念 私と寅さん

私の英才教育は寅さん

有里川さゆりさま (30代~ ) 関東 在住

5歳の時、初めての映画館で見た映画は
『男はつらいよ』の『第38作』でした。

私を置いて姿を消した父親にどこか似ていて、
懐かしい香りがしました。

見ていると、
いつか本当に大好きな父親に会えるような気がして
寂しい時も、甘えたいときも
優しい気持ちになれました。

母もまた同様、
父の面影をどこかで探していたのかもしれません。

それから我が家では
毎日、寅さんを見て、生きてきました。

寅さんの新作が待ちきれずに、
ランドセルを背負ったまま、

駄菓子屋でなく、

レンタルビデオ屋で寅さんを借りたり、
ビデオ販売店で買ったりするのが
私の楽しい放課後でした。

寅さんは全作、みました。
次のセリフが自然と出てくるのは
今でも変わりません。

そんな中、
擦り切れるまで見た、第39作と、第43作は、
思い出深い作品です。

朝は、
第39作で始まり、

夜は、
第43作を見て寝るのが
いつしか生活の一部のような、
当たり前のことになっていました。

なぜ、毎日飽きもせず、
それを見るのか
それには、童心なりに感じた私なりの理由がありました。

朝、第39作の『親探しをする姿』を見ることによって、
まるで、
『いつか本当の父も私を探しに来てくれるような淡い期待』で朝を迎えられ、

夜、第43作の『家族のように過ごす』姿を見ることによって
まるで、
『寅さんが父親のような優しい気持ち』で夢を見られるからです。

『寅さん』という素晴らしい作品と映画スターが
存在してくれたおかげで、

月曜日の重くて寂しいランドセルも、
心を折れずに、
頑張って背負えたのだと思います。

大人になってもやっぱり、寅さんがスキ。

ありがとう。寅さん。
ありがとう。山田洋次監督。
ありがとう。男はつらいよ。


  • 文化放送 新・みんなの寅さん
  • 寅さんのことば
  • 寅さんのことば 風の向くまま気の向くまま 佐藤利明
  • 寅さんのことば 男はつらいよ寅次郎音楽旅