「男はつらいよ」45周年記念 私と寅さん

子供の時に見た寅さん

ヨシヒロ多摩さま (50代~ ) 関東 在住

怖そうな おじさんが、どっかと椅子にすわって、家の人たちに向かって怒鳴っている。
そばに立っている若い女の人に おじさんは、歌をうたえと命令し、女の人は涙声で『かあさんの歌』を歌い始める。

今から40年くらい前、10歳くらいの時にテレビで見た光景です。
このシーン以外も その時に放送されたはずですが憶えていません。
ぼんやりとした記憶ながらも この場面だけを憶えているのです。
心に焼き付くような強烈さがあったのでしょう。
そのためか「寅さんは怖い人」という印象を私は持ってしまい、小学生の頃は『男はつらいよ』シリーズが苦手でした。

中学三年の時に家族で映画を観に出かけ、公開中の『男はつらいよ 寅次郎わが道をゆく』を観ました。
この時には、寅さん映画は苦手だ、などという意識はなかったので、私の“寅さん恐怖症”も すっかり消えていたようです。

『男はつらいよ 寅次郎恋歌』の、酒に酔った寅さんが さくらに歌をうたわせるところは、いま観ても、シリアス一色の場面だなと思います。
『柴又慕情』の「貸間有り」騒動や、『寅次郎忘れな草』の「ピアノ」騒動では、寅さんは猛烈に怒りはするものの、その言葉には どことなく喜劇っぽい匂いがありますが、『寅次郎恋歌』の このシーンでは、そういうのが感じられません。
店を出て行く時に、震えるような小さな声で寅さんが言う「さくら、すまなかったな。おいちゃんたちに謝ってくれよ」が やるせないです。

寅さんを見たいと思った時に『男はつらいよ 寅次郎恋歌』を選ぶことが よくあります。
このシーンがあるからかもしれません。


ありがとう、寅さん

藤本 歩武さま (40代~ ) 関東 在住

母の介護を始めて15年。介護を仕事にして10年。
実生活の辛さや仕事の辛さが、私を時々酷く残酷で意地悪な人間にしてしまう時に寅さん、あんたの事を見直しては思い直すんだ・・・
(嫌なことが一杯あるけど、ほんのちょっとの幸せを楽しむために人生ってあるんだろうな)ってね。

寅さん、あんたの受け売りで乗りきったピンチや悲しみもたくさんあったよ。
ホントにありがとう。
ただ、見るたんびに旅がしたくなるのは困りものだけどね。


寅と小寅と時々おとん

車 小寅さま (40代~ ) 関東 在住

もう時効だから語りましょうか。
あれは今から40年前の事。
寅さん好きな父が僕と一緒に国内線に搭乗した時の事です。
空港のカウンターで父が名前を聞かれ

「車寅次郎だ」と、、、

6歳の子供から見てもスタッフの動揺は手に取るようにわかりました。
それでもスタッフはそのまま用紙に父の名前を書き込んで言いました。

「お子さんのお名前は?」

さぁ、どういうんだ父。

すると「車小寅だ」

さすがに無理だろうと思いきやそれもオッケーです。

あの時もし飛行機が堕ちていたら僕らは

クルマ トラジロウ
クルマ コトラ

と出て家族にも分からない事になったのではないかと
思い出すたびに笑える。

そんな話です。


私の英才教育は寅さん

有里川さゆりさま (30代~ ) 関東 在住

5歳の時、初めての映画館で見た映画は
『男はつらいよ』の『第38作』でした。

私を置いて姿を消した父親にどこか似ていて、
懐かしい香りがしました。

見ていると、
いつか本当に大好きな父親に会えるような気がして
寂しい時も、甘えたいときも
優しい気持ちになれました。

母もまた同様、
父の面影をどこかで探していたのかもしれません。

それから我が家では
毎日、寅さんを見て、生きてきました。

寅さんの新作が待ちきれずに、
ランドセルを背負ったまま、

駄菓子屋でなく、

レンタルビデオ屋で寅さんを借りたり、
ビデオ販売店で買ったりするのが
私の楽しい放課後でした。

寅さんは全作、みました。
次のセリフが自然と出てくるのは
今でも変わりません。

そんな中、
擦り切れるまで見た、第39作と、第43作は、
思い出深い作品です。

朝は、
第39作で始まり、

夜は、
第43作を見て寝るのが
いつしか生活の一部のような、
当たり前のことになっていました。

なぜ、毎日飽きもせず、
それを見るのか
それには、童心なりに感じた私なりの理由がありました。

朝、第39作の『親探しをする姿』を見ることによって、
まるで、
『いつか本当の父も私を探しに来てくれるような淡い期待』で朝を迎えられ、

夜、第43作の『家族のように過ごす』姿を見ることによって
まるで、
『寅さんが父親のような優しい気持ち』で夢を見られるからです。

『寅さん』という素晴らしい作品と映画スターが
存在してくれたおかげで、

月曜日の重くて寂しいランドセルも、
心を折れずに、
頑張って背負えたのだと思います。

大人になってもやっぱり、寅さんがスキ。

ありがとう。寅さん。
ありがとう。山田洋次監督。
ありがとう。男はつらいよ。


寅さんになりたくて

まあおさま (40代~ ) 関東 在住

昨年秋に他界した父が、毎回テレビ放映を欠かさず観ていた影響で寅さん好きに。
いつしか寅さんの生き様に憧れるようになり、さらには人生の師匠的存在へと昇華した。
あんな生き方がしてみたい、と想いつつも、それは今の社会では許されず。
唯一真似できたことは、ふらっとたまに実家へ帰ることくらい。

今では実家に母親一人。もうそんなこともできなくなった。
まめに実家へ顔を出そう。


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